坂の上の赤トンボ
十年ほど前、テレビで『坂の上の雲』のドラマが放送された折、家内が司馬遼太郎の原作を読むといって、文春文庫を8冊買ってきましたが、そのままになっていました。今年の4月になって、読む気になって、週末ごとに家内が朗読するので、聴いていましたが、先日、読了しました。
話題の多い小説なので、内容はあらかた聞き知っていましたが、いずれにしても長い。昭和43年から産経新聞に4年間にわたり連載したそうですが、毎日、少しずつ読むのは良いとしても・・・自分が調べたことは全て書くという気持ちは伝わってきますが・・・。
新聞連載時期はちょうど、わたしの大学生時代と重なりますが、そのころは産経新聞や司馬遼太郎を読むという気分はありませんでした。司馬遼太郎を初めて読んだのは三十代のころに『ひとびとの跫音』という正岡子規の妹・律の養子などの話だったと思います。その後、『空海の風景』とか『街道をゆく』などは読んで楽しみました。
一度、『菜の花の沖』という高田屋嘉兵衛(わたしの郷里の人)が主人公の小説を読み始めたことがありますが、全6巻の半分くらいで飽きてしまいました。やっぱり彼の小説は読めないと以後、手にしませんでした。
今回も朗読を聴くというかたちでなかったら、とても最後までたどり着けなかったと思います。聴いている分には、退屈なところは、自然とふと眠っていられます。
沖ノ島の宗像大社・沖津宮に仕える佐藤市五郎という人が木に登って、明治38年5月27日の日本海…