ピアノで運命
午後3時過ぎになると、今日は何を聴こうかと頭を巡らせますが、ベートーヴェンの交響曲はどこか大げさな感じがして、第6番「田園」以外はあまり聴くことがないのですが、リストが交響曲全9曲をピアノ独奏用に編曲したのがあるのを思い出しました。オーケストラで演奏するのを、ピアノ1台、つまり指10本で表現しようというものです。ピアノがあれば自宅で交響曲が演奏できるというわけです。
以前、車のラジオ放送で、そのピアノ演奏版を聴いて興味を持ち、CDを取り寄せていました。今回、久しぶりに第7番、第6番「田園」を聴いてみて、交響曲がまるでピアノ・ソナタのように聞こえるのに驚きました。これなら交響曲も大げさでなく、昼寝しながら楽しめると気持ちよく聴きました。ピアノ演奏はシプリアン・カツァリスです。オーケストラの音をピアノで表現するのですから、リスト編曲ならではの超絶技巧が必要なのでしょうが、ピアニストは難なく演奏しています。ラジオで聞いたとき、番組司会のピアニストが「これ一人で弾いているんですよね」と感嘆していたのを憶えています。
翌日は第5番「運命」をかけてみて、びっくりしました。こんなことが指10本でできるのか! それにオーケストラで聴くよりも刺激的で、興奮させられ、まるでフリー・ジャズの演奏を聴いているような気分になりました。「運命」ってこんなに過激なのかと再認識させられました。リストそしてカツァリス恐るべしと唖然としました。録音したのは1980年代で、カツァリスも編曲を加えているようです。一…