イェルサンのこと

 「動かない人生は、人生とはいえません。」とイェルサンは母親に手紙をかく。1863年スイスに生まれ、パリでパストゥールに学ぶ。

 パトリック・ドゥヴィル『ペスト&コレラ』(辻由美訳 みすず書房)は波瀾の生涯をおくったアレクサンドル・イェルサンについての評伝です。

 「いつか、新たなリヴィングストンになりたい。」と彼は手紙にかく。アルチュール・ランボーがラクダの背にのって、砂漠の岩場で難儀していた頃です。

 ジフテリアの研究で成果をあげるが、探検家になりたくて27歳で研究所を去り、船医となり、インドシナにわたる。ヴェトナムからカンプチアまでの陸路を拓いた最初の人となる。1894年香港でのペスト発生に際し、北里柴三郎と争い、ペスト菌を発見する。

 1943年太平洋戦争のさなかヴェトナムで世を去る。彼に因んでペスト菌の学名はYersinia pestisになる。

 #「ネアンデルタール人との関係」https://otomoji-14.seesaa.net/article/2015-11-23.html


ペスト&コレラ

ペスト&コレラ

  • 出版社/みすず書房
  • 発売日: 2014/05/24
  • メディア: 単行本

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