何年か前、松山へ行った帰りに、尾道に立ち寄ったことがあります。
映画「東京物語」(1953年)では水路のような海をポンポンとリズミカルにゆきかう船のエンジン音が聞こえます。

以前、何かのおりに、長男がこの映画をほめていたので、不思議に思っていました。息子の立場で「東京物語」を観て何がおもしろいのか!? わたしも何回かはテレビなどで見ていて、おおまかなあら筋は知っていました。尾道で始まり、尾道で終わる物語。
笠智衆と東山千栄子の演ずる老夫婦は何のために東京へ出かけることになったのか?
梶村啓二『「東京物語」と小津安二郎』(平凡社新書)という本が出ていたので読んでみました。
周吉「まア、今の中に子供たちにも会ふとこう思ひましてなア」
以前に録画したままになっていた映画を視てみました。
すべてが細かく計算され尽くした、なんと企みに満ちた映画かと愕然としました。
原節子が尾道から東京へ帰る汽車のなかで、義母の形見といってわたされた懐中時計を、取り出して見詰めるシーンは特に印象的です。
すじは知っていても、何回でもおもしろいのは、親の立場でも、こどもの立場でも、それぞれにおもしろいということなのでしょう。
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