高低差で見る

 京都市は琵琶湖疏水で琵琶湖から水をもらっていますが、山を越え、なぜそんなことが出来るのか不思議でした。ふと思いついて調べてみると、琵琶湖面の標高が 84mなのに対し、京都市(府庁)は 47.6mでした。



 これだけ高低差があれば、トンネルを掘れば、水は流れて来るのでした。水力発電もできるし、船を通すには上げ下げする装置(インクライン)も必要になります。納得しました。普通に地図を見ていても分かりませんが、案外と滋賀県は標高が高いのです。明治の人もよく気づいたものです。





 琵琶湖には約450本の川が流れ込んでいるそうですが、出てゆくのは瀬田川だけです。京都府南部で宇治川と名を変え、また淀川となり大阪湾に注ぎます。水の都・大阪(府庁)は標高 15.5mと低くなります。



 ちなみに京都府南部は「やましろ・山背」と称ばれます。平城宮から見て奈良山の後ろになるからだそうです。平安京への遷都により「山城」と表記が変わりました。その時代の中心がどこかによって変化します。これも高低差の一種でしょう。



 奈良県庁は標高 93.1mです。京都が周囲と比べて比較的低地なのが分かります。いろんな高低差を意識して周囲を眺めると、また違ったものが見えてくるかも知れません。



 #「歴史の謎を地理で解く」https://otomoji-14.seesaa.net/article/2020-07-03.html

この記事へのコメント

  • middrinn

    「おれたちみたいに、東京の外にあまり出たことがないやつでもね、京都
    なら平気なんだ。何故かというと、あそこは碁盤の目になってるだろう?
    だから北と南が分ればいい。ところがそれがね、オシッコすれば分るん
    だってさ。立小便してみて、流れる方が南なんだよ。」「え?どうして?」
    「うん。南の方が低いんだ。鴨川だって、ちゃんと南へ流れてるだろう?
    それに、自転車だってね、北へ行く時は疲れるけど、南へ向う時は疲れない
    んだそうだ。ゲタだってね、北へ歩く時はうしろの歯がへるし、南へ歩くと
    前の歯がへる。」という主人公と友人横田との間で交わされた会話が庄司薫
    『白鳥の歌なんか聞えない』(中公文庫,1973)に出てきて、読んだ時から
    気になってましたが、玉稿により裏書きされましたヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪
    2021年09月09日 12:22
  • 爛漫亭

    知らない都市に行って、まず町の構造を
    頭に入れておくと便利ですね。東京は凹凸が
    多くて、middrinnさん、脚がくたびれます。
    2021年09月09日 14:48
  • そらへい

    明治時代に作られた琵琶湖疎水やインクラインは
    古都京都では比較的新しい歴史遺産ですね。
    岡崎訪れると、インクラインや疎水沿いを歩いたりしました。
    好きなスポットです。
    2021年09月09日 20:08
  • さっかん

    高度差には最近詳しい?です。現在地は首都ですが2400mで、車で40分走ると、3000m超えの峠に着きます。そこからヒマラヤ山脈が見えます。みんな7000mを超える山々です。職場の階段を上がる時、酸素濃度がどれくらいなのかとか、日本に帰ってマラソンしたらすごい記録がでるのではとか、想像しています。でもインドの国境では高度は100mくらいとか。
    『白鳥の歌なんか聞こえない』懐かしいです。高校生の時にはまってました。でも、高度の話があったとは。全く記憶がありません。
    2021年09月09日 21:23
  • 爛漫亭

    そらへいさん、京都は案外、新しいもの好き
    ですね。町の中に水が流れているのは気持ちの
    いいものです。
    2021年09月09日 22:09
  • 爛漫亭

    さっかんさん、そちらの人はやはり少し
    ヘモグロビンが多いですか?
    ヒマラヤが見えるのは爽快ですね。
    庄司薫を愛読とは知りませんでした。
    今年はそろそろ帰国ですか?
    2021年09月09日 22:19
  • tai-yama

    大津から国道1号線で京都に行くと、強烈な登りの後、下って
    いる感じなのですが、大津よりさらに標高を下げていたとは・・・
    2021年09月09日 23:49
  • 爛漫亭

    tai-yamaさん、高低差というのは案外
    分かりにくいですね。
    2021年09月10日 08:46
  • TakiHaru

    高低差の考察は面白いですね。
    地元に用水がいくつも流れていますが、
    江戸時代にどうやって高低差を確認してルートを計画し、
    長距離の用水をひいたのか、
    当時の技術力も並外れたものではなかったのでしょうね。
    2021年09月20日 10:42
  • 爛漫亭

    TakiHaruさん、稲作にとって用水は最も
    大切な事柄でしょうから、弥生時代からの
    技術の蓄積があるのでしょうね。
    2021年09月20日 13:34