家族からチョコレートをもらって、おやつに摘んでいます。バレンタインといえば「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」という唄が思い出されます。チェット・ベイカーの歌声やマイルス・デイヴィスの演奏が耳に残っています。
題名でファニー(funny:滑稽な)というように、歌詞をみると Your looks are laughable/unphotographable (あなたの容姿はお笑いぐさで写真にもできない)と散々な言われようです。それでもいいと言ってくれるのだから有難い唄です。
これは L.ハート作詞/R.ロジャース作曲ですが、わたしがアメリカの古い唄を聴くようになったのは、ローズマリー・クルーニーという歌手がコール・ポーターが作った唄を歌った CDを買ったのがきっかけでした。
コール・ポーターの唄は「 I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN 」とか「 I CONCENTRATE ON YOU 」などと言葉の使い方が新鮮で、どんな意味だろうと興味が惹かれます。これらはどちらも「あなたに夢中/とりこ」といった意味のようです。「 LOVE FOR SALE 」などと放送禁止になった曲もあります。
コール・ポーター(1891-1964)について、< こうしたスラブ風の曲調や中南米風のリズムが、どのようにしてアメリカ中西部出身のプロテスタントの少年にもたらされたのか(中略)ほかのどのソングライターの曲とも違っていたーーー(中略)コール・ポーターがわれわれに遺してくれたのは、永遠の若さという幻想なのだ。 >と記していた本*がありました。
ヘレン・メリルの声でおなじみの「 YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO 」は以前、「帰ってくれたら嬉しいわ」と訳されていましたが、意味の取りにくいシャレタ英語です。最後の「TO」は何なのか?
IT WOULD BE SO NICE TO COME HOME TO YOU ということなんだそうです。「YOU」を強調して前に出した構文になっているのだそうです。意味は「君が待つ家に帰れたらとても素敵なんだけど」といった感じです。戦地の若い兵隊が故国の恋人に語りかけている雰囲気です。唄を聴いているとその背景にいろんなものが見えてきます。
*ウイリアム・ジンサー『イージー・トゥ・リメンバー アメリカン・ポピュラー・ソングの黄金時代』(関根光宏訳 国書刊行会)
この記事へのコメント
そらへい
もっと古い人と思っていました。
ジャズに限らず、外国の曲の歌詞、知りたくなりますね。
タイトルとか詩は省略が多くて、さらにわかりにくいです。
爛漫亭
輸入盤は歌詞カードもなくチンプンカンプンです。
和訳が付いていても誤訳があって油断できませんね。