子供という種族

 昔のスライド写真をスキャナーで取り込んでいると、子供たちが生き生きと休みなく動きまわっている姿が現れます。どこで撮ったのか記憶にない写真がたくさん出てきます。ふざけたり、木に登ったり、道に転がったり画面からはみだすような活動ぶりです。長男が10歳、次男が6歳の頃です。


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 大人たちは憮然と立っていたり、すましていたり、微笑していたり、あまりエネルギーの発散は感じられません。



 先ごろ読んでいた作家のサロイヤンが、< 子供という人種は元気で熱心で、物を知りたがり、無邪気で空想力に富み、健康で信念に充ちている。これに反して大人という種族はだいたいにおいて萎びて無気力で空想力がなく、不健康で信念を持っていない。 >* と書いているのを読んで、苦笑しながらも同意せざるを得ませんでした。



 いま取り込んでいる色褪せたスライドは 34年前のものなので、ちょうど一世代が経過して、画面の子供たちは父親の年になり、新しい子供たちが活躍するようになっています。萎びて無気力で不健康な世代は過ぎ去った時間の中に想いを馳せます。



*『ウィリアム・サローヤン戯曲集』(加藤道夫/倉橋健 訳 早川書房)


この記事へのコメント

  • tai-yama

    最近の子はどうなんだろう?。親戚の子供(男)はクワガタやカブトムシ
    が触れないと言う・・・・。ゴキブリが出た日にはパニックと(笑)。
    2022年06月29日 23:37
  • 爛漫亭

    遊びに熱中できる子供の活力はうらやましいです。
    最近は、tai-yamaさん、ヴァーチャルな遊びが多い
    ようですね。カブトムシも電池で動いていると教え
    ればいいかもしれません。
    2022年06月30日 14:15