晴れやかな音楽

 この間からハイドンを聴いています。なんとなく近代の音楽がウットーシク感じられ、久しぶりに彼の交響曲(第93-104番)をかけてみました。以前はハイドンは単純で、面白くも何とも無いと思っていたのですが、今回は晴朗な空のように感じられ、気持ちよく気晴らしになっています。


 ハイドンはモーツァルトのように才気走ったところがなく、ベートーヴェンのような押し付けがましさがなく、マーラーのような鬱陶しさがなく、更にはバッハのような抹香くささもありません。


 ハイドン(1732-1809)はオーストリア生まれですが、アメリカ初代大統領ワシントンと同い年で、日本では八代将軍吉宗の時代で、与謝蕪村とは同時代人です。


 彼は 100曲以上の交響曲を作っています。モーツァルトが 41曲、ベートーヴェンが 9曲なのに比べると、多作ぶりが際立っています。また、ハイドン以前の作曲家の交響曲というのも一般的ではありません。小学生の時に、彼を「交響曲の父」と習ったのも頷けます。


 交響曲が人間の心模様を表現しているとすれば、ハイドンから 200年の間に、人間の心は色んな領域が発見され、膨張し拡大したように思われます。ハイドンでは各楽章が4~9分でたりたのが、20世紀のショスタコーヴィッチなどでは、20分を超える長大さが必要になっています。


 心のひだを曝け出したような 19世紀以降の音楽は、日常的に聴くには胸につかえ、胃にもたれて体にこたえます。そういう意味では、ハイドンは一曲の清涼剤です。聴きながら、気持ちよくうたた寝していると、ビックリさせてくれたりもします。しばらくは春の空のような音楽が楽しめます。





この記事へのコメント

  • そらへい

    クラシックの各作曲家に対する批評がぴったりです。
    ハイドンも若いときは物足りなく感じたものです。
    その後、FMかなにかで聞いた時、こんな曲があったのかと
    思ったものですが曲名忘れてしまいました。
    確かに、たまにクラシック聞きたいと思っても
    ベートーベンは重いし、シューベルトは寂しすぎるしと
    いろいろありますね。
    私は、モーツァルトかバッハが多いです。
    2023年02月14日 19:32
  • 爛漫亭

    そらへいさん、音楽は食事と同じで、その時の体調で
    好みが変わりますね。ハイドンはさしずめ米飯に焼き魚と
    いった感じ。また気分が変われば、ヒツコイのや、手の
    込んだものが食べたくなるでしょうね。
    2023年02月14日 20:26