愛でるということ


 正月には「おめでとう」と言葉を掛け合いますが、「おめでたい」とはどういうことだろうと本*を見てみると、< めでたいは「愛(め)でる」という動詞から出ている。古語では「愛づ」になる。人や物の美しさ、すばらしさに心が引き付けられる気持ち、美しいもの、かわいらしいものに感心し、深い愛情を抱くことがメデルである。すばらしいものを褒めるのである。メデタイはは動詞メヅの連用形メデに「はなはだしい」の意味の形容詞イタシを付けた複合形メデイタシから出ている。> とありました。


 なるほどと思いますが、以前に読んだはずなので、またすぐに忘れてしまうでしょう。これだから読書は本箱にある本を読み返しておればいいようなものですが、毎週の新聞の書評欄も気になります。


 今週はマイク・モラスキー『ジャズピアノ 上・下』(岩波書店)の紹介が目に止まりました。ジャズ・ピアニスト 150人について、<ジャズ史を源流までたどり、ピアニストごとの具体的な弾き方と個性、魅力をわかりやすく言語化した。/(中略)ビル・エヴァンスとマッコイ・タイナーについて、こう記す。「最も興味深い共通点は二人とも左利きであることに関連すると思う。(後略)」> そうなのか、ピアノは弾けませんが、わたしも左利きなので興味を唆られます。ただ 791ページもあるので少しためらいます。前著が『戦後日本のジャズ文化』とあり、それは 15年以上前に読んだと思い出しました。


 こんな本はやっぱり本屋さんで手に取って、ペラペラと中身を眺め、懐具合とも相談しながら考えるほかありません。わたしは気にいった本は手元に置きたい困った性分です。何かを愛でるというのは非合理的で無駄の多いことのようです。


*堀井令以知『ことばの由来』(岩波新書)


ジャズピアノ: その歴史から聴き方まで (上)

ジャズピアノ: その歴史から聴き方まで (上)

作者: マイク・モラスキー 出版社/岩波書店 メディア: 単行本

この記事へのコメント

  • mm

    こんにちは^^
    書評欄、時々わたくしも釣られて買いますが、たまに失敗します(><;
    本棚の本は増える一方です。娯楽本は古本屋に売るのですが、それでも少しずつ溜まりますね(ー。ー
    2024年01月24日 12:08
  • 爛漫亭

    mmさん、本選びは好みの著者以外は実物を見ないと、
    間違いやすいですね。最近は断捨離とかが流行っていますが、
    やはり愛着のあるものに囲まれているのがいいですね。
    2024年01月24日 13:44
  • そらへい

    私の場合、若い時からそういう傾向ですが、
    知識欲を満たす本は、案外ものになりません。
    まして歳をとると記憶力の衰えですぐ忘れてしまいます。
    この前も読まなければいけない本と思って読んだ本
    読みだしてすぐに読んだことを思い出しました。
    でも、ストーリーを思い出せないのでまた読み直しました。
    読む行為と読みながらいろいろなことを
    思ったり感じたりするのが好きなのだと思います。
    2024年01月24日 19:55
  • 爛漫亭

    そらへいさん、だんだん”現役”の好みの著者が少なく
    なって、本箱にある本を再読することが増えました。
    ただ、アンテナは立てておこうと新聞の書評欄には
    目を通しています。好みの本を読んでいる時の楽しさは
    何ものにも変え難いですね。
    2024年01月24日 21:02
  • yoko-minato

    本もそうですが映画なども見たはずなのに
    内容が思い出せないことが多い気がします。
    何回も見たり読んだりすることも叉楽しい
    時間のような気もしますね。
    2024年01月27日 16:19
  • 爛漫亭

    yoko-minatoさん、映画も観るたびに発見が
    ありますね。好きなことをしているのが一番。
    2024年01月27日 16:40