17世紀のオランダの画家・フェルメールに「窓辺でリュートを弾く女」という絵があります。ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵していますが、絵の具の摩耗が激しく、図版では見づらい絵です。女性がマンドリンを大きくしたような楽器を調弦しているような構図です。
リュートは中央アジア発祥の楽器で、ヨーロッパでは器楽合奏や歌の伴奏に使われ、東へ伝搬されて琵琶になったようです。フェルメールには「ギターを弾く女」という絵もありますので、当時の絵に描かれたようなオランダ家庭では、日常的にリュートやギターを弾いて楽しんでいたのでしょう。
フェルメールより53歳下のバッハには、「リュート組曲」が4曲あります。第3番は「無伴奏チェロ組曲第5番」の編曲で、第4番は「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」を編曲したものです。リュートで楽しめるように移調したのでしょう。現代ではギターでも演奏されています。
バッハなどの時代様式を示すバロックという言葉は「歪んだ真珠」という意味なのだそうで、ルネサンス様式より情感的ということなのでしょう。フェルメールには「真珠の耳飾りの少女」という絵もあります(捌称「青いターバンの少女」)。真珠の耳飾りの少女が振り返った表情は魅力的で印象に残っている人は多いでしょう(2000年に大阪市立美術館で展示されました)。また絵の少女をモデルにした小説が書かれ、映画にもなりました。
(wikipediaより)
1881年、修復前の汚れたままのこの絵がオークションで落札された値段は、2ギルダー30セント(現代でいえば1万円位)だったそうです。ちなみに2002年、オランダにユーロが導入された時、1ユーロ=2ギルダー20セントでした。*
そんなことを考えながら、バッハの「リュート組曲」を聴いていると、ギターのような音色なので親しみやすく、フェルメールの絵のモデルたちが目に浮かぶような気がしてきます。
*朽木ゆり子『フェルメール全点踏破の旅』(ヴィジュアル版集英社新書)
(リュート組曲第3番)
この記事へのコメント
そらへい
淡々と演奏されるところが邪魔にならなくて好きですね。
バロックが「歪んだ真珠」という意味とは知りませんでした。
少し意外な意味です。
リュート、ほんとうにギターに似ています。
ギターより優美です。
ブロックフレーテやリュートなど古楽器で演奏された
バロック音楽も典雅な趣があっていいです。
てんてん
今日も来ましたよ♪
爛漫亭
あっていいですね。ベートーヴェンが切り開いた19世
紀は百花繚乱ですが、バッハの味わいはないですね。
21世紀音楽に期待したい気持ちもあります。
いっぷく
めぎ
そら
確かラピスラズリで有名でしたっけ?
しかし綺麗な青色ですねぇ(^^)
ぼん
mm
ギターくらいは分かります(^^ゞ
mm
爛漫亭
爛漫亭
爛漫亭
爛漫亭
mmさんなら世界各地で何点も観ておられるのでしょうね。
yoko-minato
マンデリンを大きくしたような楽器とのこと。
大きくなると音色も少し低くなる気がするので
耳にここち良く響きそうです。
それにしてもふぇるるの絵がそんな価格で
落札されたとは驚きでした。
爛漫亭
楽器は何か親しみがありますね。同じ曲でもヴァイオリン、
チェロ、胡弓のように弓で弾くのとは雰囲気が変わりますね。
lamer-88
相方も写実の絵が好きなようです。
爛漫亭
ようですね。