今年も「この3冊」

 年末恒例の毎日新聞、「この3冊」が2週にわたって掲載されました。毎週末の書評欄「今週の本棚」の書評担当者たちが、今年出版された本で、特に推薦したい本を、各自3冊ずつ短文を付けて挙げています。毎年、次年の読書の参考にしています。今年はそれで年初に、昨年に推薦されていたエマニュエル・トッド『西洋の敗北』(文藝春秋)を読み、期待にたがわず興味深い内容でした。  今年はどんな本が出たのだろうと、楽しみに眺めたのですが、なかなか読んでみようという本に出会いません。宮本輝『潮音』(文藝春秋)は富山の薬売りに関わる歴史小説で、ちょっと食指が動いたのですが、全4巻もあるので、文庫本になってから考えようかとスルーしました。小説では他に、柴崎友香『帰れない探偵』(講談社)というのが複数の書評者に取り上げられていて目立ちました。紹介文を読んでみると、近未来小説という言葉がそれぞれに出てきます。あまり未来の残っていない者には関係がないか...とパスしました。  一方、わたしが今年読んだ本では、ちょうど今月読んだ鈴木俊貴『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)を政治学者の中島岳志さんが推薦し、また生命誌研究者の中村桂子さんが、8月に読んだ藤井一至『土と生命の46億年史』(講談社ブルーバックス)を選んでいました。  確かにどちらも面白くて、しかも身近な”鳥”や”土”に、知らなかった世界が広がっているのを気づかせてくれた楽しい本でした。こんな体験が出来るので読書は止められない、と今更ながら思わせてくれました。 …

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シジュウカラは言葉を使う

 この間から、『僕には鳥の言葉がわかる』(鈴木俊貴 小学館)という本を読みましたが、驚くような内容でした。著者は1983年東京生まれの生物学者ですが、”世界で初めて” 人間以外の動物(シジュウカラ)が言葉を喋っているのを発見し、実験的に証明した経緯を書いた内容でした。  アリストテレスの昔から、言葉を使うのは人間だけで、他の動物の鳴き声は感情表現に過ぎないと考えられてきたのですが、著者は、シジュウカラは200語ほどの言葉と文法を持っていると言います。とてつもない大発見です。軽井沢の森に入口が3cm位のシジュウカラ用の巣箱を掛け、録音機、撮影機器、マイクなどを設置し、何年にもわたって観察し続けた記録が分かりやすく楽しげに書かれています。  たとえば、子育て中の巣箱を観察していて、カラスが近づくと親鳥は「ピーツピ」と鳴くのに対し、ヘビが接近すると「ジャージャー」と鳴くのに気づきます。そしてヒナたちは「ピーツピ」の時は巣箱の奥で身を寄せてすくんでいるのですが、「ジャージャー」の時には巣立ちの2〜3日前でも、ヒナたちは次々に飛び出ていきます。  カラスに対しては巣箱の奥で身を潜めればカラスのクチバシは届きませんが、ヘビの時には飛び立つ必要があります。親鳥は鳴き声を使い分けているのです。  餌を見つけると「ヂヂヂ」と鳴き、他の鳥たちに伝えます。猛禽が現れると「ヒヒヒ」と鳴き、鳥たちは一斉に飛び去ります。また、日本のシジュウカラの声を録音して、フィンランドのシジュウカラに聞かせると、日…

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町の変転

 8日から始まった屋根の改修工事もほぼ完了したようです。1983年に建てた家ですので、42年になります。当時、和歌山県の人口は108万人で、,郊外に次々と宅地造成がされ、地価も年々高くなっていました。子供が2人になり、手狭になったので、何処かに土地だけでも取得しておかねばと、休みごとにあちこち見て回っていました。  職場でそんな話をしていると、同僚が「うちの隣の土地が売りにでているよ、おいでよ」と誘われたのが縁となりました。住むようになっても、子供達は隣のお子さんと一緒に少年野球チームに入ったりして、よく遊び、隣家が知り合いで心やすいというのは安心でした。  近所に子供達も多く、お年寄りから若い人まで、いろんな人が暮らしていて、八百屋、肉屋、本屋、薬局、駄菓子屋、自転車屋、銀行、郵便局などがあり、日常生活は歩いて回れる範囲で用が足せました。  10年ほどすると、地価が下がり始め、2キロほど向こうに大型商業施設ができ、肉屋さんが無くなり、本屋さんが無くなり、薬局が無くなり、車がないと暮らせない町になりました。  25年ほど前に、近所の公営グラウンド跡地に教育施設が移転してきて、学生や職員向けの集合住宅が何棟も建ち、若い人が行き交うようになりましたが、以前からの住人とは交流はなく、自治会にも無関係です。その頃には我が家の子供達も巣立っていました。近くの幹線道路には郊外型の大型店舗が並ぶようになっていました。  その後、わたしは仕事の関係で、16年ほど紀南地方に転居し、週末…

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